大井町議会基本条例(全文・説明)
「大井町議会資料」より
(前文)
町民に選ばれた議員により構成される大井町議会（以下「議会」という。）は、町民の代表機関であり、執行機関の監視はもとより条例の制定、予算・決算等の議決を通じて政策に関する最終的な意思決定の権限を有し、責任を負っている。
社会経済の変化や価値観の多様化に伴い、地域社会の課題が山積している。議会は、自らの特性を活かしてこれらの課題に取り組み、自由かっ達な討議を通して町政上の論点、争点を明確に開示するとともに、町民参加と協働を基軸に、町民の福祉の向上を図り、元気で温かな地域づくりを推進していかなければならない。
このような認識のもと、議会の活性化を図りつつ町民の信託にこたえ、信頼され存在感のある議会となるため、この基本条例を制定する。
説明
- 前段は、町民から選ばれた議員により構成された議会の権限を示し、議会の活動は、町民に対して政治的責任を負っていることを明記している。
- 中段は、町民参加と協働を基軸として、町民の福祉の向上と元気で温かな（活力に満ちた）地域づくりを目指すことを宣明している。
- 後段は、議会は自ら活性化に取り組みながら、町民の信託にこたえ、信頼され存在感のある議会となるよう努力する。
(目的)
第1条
この条例は、自主自立が求められる時代の要請にこたえるため、議会の運営及び議員の活動に関する基本的事項を定めることにより、議会が町民から期待された行政監視の役割を果たし、政策形成の機能を発揮するとともに、町民とともに協働の運営を進めることによって、町民の福祉の向上と活力に満ちた地域づくりに資することを目的とする。
説明
- この条例が町民の福祉の向上と活力に満ちた地域づくりに資することを目的とし、町民から期待されている議会の役割を果たすために、議会運営及び議会活動に関する基本的事項を定めることを明らかにしている。
(議会の活動原則)
第２条
議会は、町民を代表する議事機関として、町長その他の執行機関の活動を住民の立場に立って監視するとともに、自ら活力に満ちた地域づくりのために必要な政策を立案して決定し、推進しなければならない。
第２条２
議会は、前項の活動に当たっては、町民に必要な情報を提供し、その多様な意見を反映させるとともに、町民とともにまちづくりの活動を推進するため、町民参加と協働を基軸にした議会運営に努めなければならない。
第２条３
議会は、地方自治法(昭和２２年法律第６７号。以下「法」という。)その他の法律で定める活動を誠実に実施するために、この条例に規定するもののほか、議会運営の基本となる大井町議会会議規則(昭和５８年大井町議会規則第１号)の内容を継続的に見直すものとする。
説明
- 議会は、町長等の執行機関に対し、町民の立場に立って批判、監視を行うもので、また政策を審議するばかりでなく、地域政策の立案、決定という役割も担っている。
- 議会は、町民参加と協働を基軸とし、町政に関する情報を広く町民に提供するとともに、町民に開かれた議会運営を推進することを定めている。
- 前２項の趣旨を踏まえ、議会会議規則を継続して見直すこととしている。
(議員の活動原則)
第３条
議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討論の推進を重んじなければならない。
第３条２
議員は、町政全般について課題及び町民の意見や要望を的確に把握するとともに、自らの能力を高め、町民の代表としてふさわしい活動をするものとする。
第３条３
議員は、個別的な事案の解決だけでなく、町民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。
説明
- 議会は「言論の府」であり、合議制であることから、その特性を活かして町政の論点、争点を明確にするため、議員の自由な討論を尊重している。
- 議員は、町政全般にわたり多様な町民の意思を把握するとともに、議員としての資質の向上に努め、町民の代表者としてふさわしい言動をとることを定めている。
- 議員は、町政全般に目を配り、個別的事案の解決ばかりでなく、町民全体の福祉の向上を目指して活動することを定めている。
(町長と議会及び議員の関係)
第４条
議会の本会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)との質疑応答は、広く町政上の論点、争点を明確にするため、一問一答方式で行う。
第４条２
議長から本会議及び常任委員会、特別委員会への出席を要請された町長等は、議員の質問に対し議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
説明
- 広く町政上の論点、争点を明確にし、審議を深めるため、質疑は、一問一答方式で行うことを定めている。会議における質問は、第１回目は２問までとし、再質問は一問一答方式により３回までとする。一般質問は、時間を定めて行う。
- 町長及び町の職員は、議員の質問に対して論点、争点を確認するため、逆質問することができると定めている。
(議会の議決事件)
第５条
法第９６条第２項に規定する議会の議決事件は、次のとおりとする。
- 基本構想に基づく基本計画(総合計画をいう。)に関すること。
- 法第２２１条第３項の法人に対する出資及び町が出資することにより当該法人が同項の法人となる当該出資に関すること。
説明
法第９６条第２項では、条例で議会の議決事件を追加指定できると規定している。この規定により、２項目を新たに議決項目として追加することを定めている。
- 第１号は、将来のまちづくりの基本計画を執行機関に任せてしまうことは、議会の責任を果たしているとはいえないので、議決事項としている。
- 第２号は、公社等の一部には赤字が累積し、その穴埋めを地方公共団体が行っている例が見られることから、議決事項としている。
(重要政策の審議等)
第６条
町長等は、総合計画、その他重要な政策を策定しようとするときは、あらかじめ議会又は議員の意見を聴くよう努めなければならない。
第６条２
町長等は、議会の議決を得るべき政策案を提案し、又は前項の規定に基づいて意見を聴こうとするときは、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。
- 政策等の発生源
- 検討した他の政策案等の内容
- 総合計画における根拠又は位置づけ
- 関係ある法令及び条例等
- 政策等の実施に係る財源措置
- 将来にわたる政策等の維持管理を含めた財源計画
第６条３
議会は、前項の政策等の提案を審査するに当たっては、立案、執行における論点、争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
説明
- 町民の意見や考え方が組み込まれた政策が求められていることから、重要政策を策定する場合は、町長等は事前に議会又は議員の意見を聴くように定めている。
- 重要政策を審議する場合は、慎重かつレベルの高い議論が行えるように、町長等は政策決定過程から将来コストまでの６項目にわたる情報を提供することを定めている。
- 議会は、町長等から提供された情報を踏まえ、立案、執行における論点、争点を明確にするとともに、執行後における政策評価に役立つような審議に努めることを定めている。
(議会における自由討議の拡大)
第７条
議会は、議員による討議の場であることを認識し、町長等に対する出席要請を必要最小限にとどめるとともに、議員間の十分な討議によって合意が形成されるよう努めなければならない。
第７条２
議員は、議員間の討議については、町長その他の執行機関の意見又は方針にとらわれることなく、自由な討議を基本とし審議を行うよう努めなければならない。
説明
- 議会における自由討議の拡大を図るため、町長等の会議等への出席要請を必要最小限にとどめ、議論を重ねながら次善策を見出して合意形成に努めることを定めている。
- 議員間の自由で活発な討議を基本として、審議が行われるよう定めている。
(議会の組織)
第８条
議会は、社会経済の変化等により新たに生じる課題に迅速かつ柔軟に対応するため、委員会の設置その他必要な措置を講じるよう努めなければならない。
第８条２
議会は、法で定める委員会等のほか、 町民と議員が自由に意見や情報を交換するために、一般会議を置くことができる。
説明
- 議会は、効率的な審議を行うため、各種委員会を設置するとともに、公聴会や参考人制度を活用し、課題に迅速かつ柔軟に対応することを定めている。これらのほかに、任意の会議として研究会を立ち上げて具体的な検討を行っている。
- 日常の議員活動により把握できる町民の意見や考え方には、量的にも範囲的にも限界があるので、町民と議会が自由に意見や情報を交換できる場として、一般会議を設置できると定めている。
(議会図書室の設置、公開)
第９条
議会は、議会図書室を設置するとともに、これを議員のみならず、 町民、町職員の利用に供するものとする。
説明
- 議員の調査研究を促進し、議会審議を充実させるため、議会図書室を設置し、一般の利用に供することを定めている。
(議会事務局の体制整備等)
第１０条
議会は、議会又は議員の政策形成等の活動を支援するため、調査機関等としての議会事務局の体制を強化するよう努めなければならない。
第１０条２
町長その他の執行機関は、議会又は議員の政策形成等の活動を支援するため、財政措置、情報提供その他必要な措置を講じるよう努めなければならない。
説明
- 議会及び議員の政策形成機能や執行機関等に対する監視機能等を高めるため、これを補佐する議会事務局の体制を強化することを定めている。
- 町長その他の執行機関においても、議会又は議員の活動を支援するため、必要な措置を講じるよう定めている。
(議員の研修等)
第１１条
議会は、議員の政策形成能力の向上等を図るため、議員の研修及び政策研究(以下「研修等」という。)の充実に努めるものとする。
第１１条２
町長その他の執行機関は、前項の規定による研修等の実施に協力するよう努めなければならない。
説明
- 議会は、行政が質的にも高度化している状況を踏まえ、議員の政策形成能力の向上等を図るため、議員研修と政策研究の機会を積極的に設けるよう努めることを定めている。
- 町長その他の執行機関は、これらの研修等の実施に協力するよう努めることを定めている。
(議会広報の充実)
第１２条
議会は、町政に係る重要な情報を議会独自の視点から、常に町民に対し周知するよう努めるものとする。
第１２条２
議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
説明
- 議会は、町政の争点、論点などの重要な情報を議会の立場から、継続的に町民へ提供することを定めている。
- 議会は、情報技術の発達に合わせ、多様な広報手段を活用することにより、町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報の充実に努めることを定めている。
(議員定数及び議員報酬)
第１３条
議員定数及び議員報酬は、別に条例で定める。
第１３条２
議会は、議員定数及び議員報酬の改正に当たり、町政の現状と課題、将来の予想と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等を勘案するため、広く町民の意見を聴取することに努めるものとする。
説明
- 議員定数は大井町議会議員定数条例で、議員報酬は大井町議会議員 の報酬及び費用弁償等に関する条例で別に定めている。
- 議員定数及び議員報酬の改正は、町政の現状と課題、将来の予想と展望を十分に考慮して総合的に検討するとともに、議員活動の評価等について、広く町民の意見を聴取することを定めている。
(議員の政治倫理)
第１４条
議員は、町民の代表者としてその倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
説明
- 議員は、その倫理性を自覚して品位を保持することはもとより、議員としての影響力を不正に行使するなど、町民の疑惑を招くことのないよう行動することを定めている。
(この条例の性格等)
第１５条
この条例は、議会運営に関する最高規範であって、議会は、この条例で定める目的、原則等を実現するために必要な事項について条例、規約等を制定し、議会運営の仕組みを体系的に整備しなければならない。
第１５条２
議会は、議会運営がこの条例の目的、原則等に即して行われているかどうかを不断に点検し、必要があると認める場合は、この条例の改正その他必要な措置を講じなければならない。
説明
- この条例は議会運営における最高規範であり、この目的、原則等に則して、議会運営の仕組みを体系的に整備することを定めている。
- 議会はこの条例を遵守した議会運営に努め、必要に応じて条例の改正等の措置を講じることを定めている。
附 則 この条例は、平成２１年１月１日から施行する。
お気軽にお問い合わせください。0465-84-5551受付時間 9:00-21:00
お問い合わせはこちら お気軽にお問い合わせください。