電力の地産地消が始まる!

電力の地産地消

平成31年6月より「電力の地産地消」が始まる!

平成30年6月議会にて次の質問をしました。

再生可能エネルギー(メガソーラー発電)の地産地消について

地球温暖化は着実に進んでいます。石油系の燃料は、いつかは枯渇します。

枯渇の心配のない天然資源を利用する再生可能エネルギーは人間にも地球にも優しいエネルギーです。日本のエネルギー自給率は6%と言われ、残りの94%は海外からの輸入に頼っています。

近年、発展途上国の経済的な発展により、世界的にエネルギーの需要が高まっていることに加え、産出国の中東地域の政情不安により、石油市場も安定せず、世界的にエネルギー市場が不安定な状況になっています。さらに、原子力発電所についても、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、いまだに多くの人たちが帰宅できずに、厳しい避難生活を送っています。

人間がコントロールできないものは作るべきでないと私は考えます。かと言って、即時、原子力発電所をゼロにすることは現状の経済活動など国家的見地から考えると無理があり、段階的に廃止し、代替エネルギーの比率を高める努力をしなければならないと考えます。

世界や国だけが取り組むのではなく、地方自治体としても日本の将来、子どもたちの未来を考え、再生可能エネルギーの活用や省エネについても促進しなければならないと考えます。

大井町では現在「大井町地球温暖化対策実行計画」に取り組んでおり、環境を重視した施策を推進しています。未来を見据えた取り組みであり、大いに進めるべきであると考えます。

平成31年6月より電力の地産地消の実現を目指していると報告がありました。

「地産地消」と聞くと農産物を想像しますが電気の地産地消とは農産物の地域生産・地域消費と同じく、地域で生産された電気をその地域で消費することです。とは言っても、電力は目に見えないだけに地産地消の仕組みが一般的には良く分かりませんので、現在大井町が進めている「再生可能エネルギーの地産地消の推進について」4点の質問しました。

  1. 事業スキームはどのようなことを考えているのか。
  2. 新電力会社を町内に設立するとなっているが、どのようなものか。
  3. 地産地消のメリットは何か
  4. 近隣他市町の動向は。

町の回答

基本的な考え方

町では、再生可能エネルギーの導入促進を図るために、「きらめきの丘おおい」、「足柄大井ソーラーウェイ」の二つの大規模太陽光発電所、いわゆるメガソーラーの誘致を含め、さまざまな施策を展開してきました。現在、再生可能エネルギーの発電量は、県下でもトップクラスであると認識しています。

これまでの政策の成果を、次のステージにつなげるために、町の地域資源となった地産エネルギーについて、地域内で活用する仕組みを構築することにより、安心・安全なまちづくりに向けたスマートタウン構想の基盤として、また、大井町地球温暖化対策実行計画事務事業編の重点施策に位置づけ、環境配慮型電力である再生可能エネルギーの調達により、CO2排出量の削減を目指すものです。

答弁

(質問)事業スキームはどのようなことを考えているのか。

再生可能エネルギーの地産地消を実現する上で、町では、町内の二つの発電事業者が電力の需給に関する個別契約を締結した小売電気事業者である新電力会社と、電力の調達に関する契約を締結し、配電事業者である東京電力パワーグリット(株)を介し、電力の供給を受ける必要があり、このスキームが一つの形になると考えています。

(質問)新電力会社を町内に設立するとなっているが、どのようなものか。

新電力会社の設立は、再生化のエネルギーの地産地消を推進するうえでの、一つのスキームになると考えています。

日本における電力需要は10万人の自治体で年間約200億円と言われており、本町の人口で換算すると、年間34億円の事業規模が想定されます。

以前は、電力会社が発電、送配電、小売りを独占していましたが、電力の自由化により、多くの新電力会社がエネルギー事業のマーケットに参入し、発電と電力の小売りを展開している。また、新電力会社のうち、自治体の出資により設立された地域新電力会社は平成29年時点で、全国で18社となっています。

この地域新電力会社は地域内の電力需要に対し地域内で供給を確保することにより、経済の地域内循環を図るもので、地域活性化に向けた取り組みとして期待されています。

本町では、再生可能エネルギーの地産地消を推進する上で、地域新電力会社の設立は検討する一つのスキームとしてとらえ、設立の可能性、さらには設立した場合の効果や採算性について調査・研究を進めていきたいと考えています。

(再質問)地域新電力会社の設立に当たっては、一つの選択肢としてとらえ、効果や採算性等について調査・研究を進めると答弁があったが、再生可能エネルギーの地産地消とは、切り離して事業を進めていくのか。

地域新電力会社の設立と再生可能エネルギーの地産地消については、切り離して事業を進めたいと考えています。平成31年6月より「きらめきの丘」から地産電源の供給が可能となることから、まずは、それに向けて準備・調整を進めていきたい。

新電力の設立については行政だけではなく、町民の皆様、事業者の皆様から御理解を頂く必要があるため、皆様と共に検討を進めていきます。

(質問)地産地消のメリットは何か

一般的には、分散型エネルギーとして公共施設へ新たに太陽光発電設備と蓄電池を導入することで、当該施設において発電された再生可能エネルギーの自己消費が可能になるとともに、蓄電池を活用したエネルギーマネージメントによる、エネルギーの効率的な利用が図られ、CO2排出量の削減につながるというメリットもあります。

地域新電力会社を設立した上で、再生可能エネルギーの地産地消を推進することで、経済の地域内循環による地域の活性化、地球温暖化防止に係る環境保護、災害対策、さらに地域課題の解決に向けたソーシャルビジネスとしての展開も可能となり、地産地消におけるメリットは大きくなると考えます。

(再質問)再生可能エネルギーの地産地消のメリットについて、町はすでに、新電力(特定規模電気事業者PPS)から電力の供給を受けており、財政支出も大幅に削減され成果が表れている。
一般的に地域を限定して電力供給を行う「地域新電力」は、現在町が契約しているような全国展開を行う新電力に比べ、電力の購入単価が高くなると聞いているが、財政的な効果は今以上に期待できるのか。

これから公共施設への電力供給に関するシュミレーションを行うため、はっきりしたことは言えないが、一般的には、PPS導入前よりも電気料金は安価になるが、新電力の単価は全国展開する新電力に比べ、高くなると意識しています。

環境配慮型電源の利用に当たり、CO2排出量の削減につながるため、CO21トンあたりの削減コストとも比較検証を行いながら、シュミレーションを行いたいと考えています。

(質問)近隣他市町の動向は。

県西地区では小田原市、松田町、開成町においては再生可能エネルギーの地産地消に向けた取り組みが進められています。

松田町と開成町においては、神奈川県との間で「電力の地産地消推進事業の取り組みに対する協定」を締結し、湘南電力(株)、及び(株)エナリス、ほうとくエネルギー(株)と、エネルギーに関する協定を締結し、松田町では再生可能エネルギーの地産地消、地域防災対策として事業を推進しており、また開成町では、新庁舎建設に係るエネルギーマネージメントを含め、再生可能エネルギーの地産地消に向けた取り組みが計画されています。

小田原市では、「小田原市エネルギーの地域自給の促進に係るモデル事業」として、公募型プロポーザル方式により選定した湘南電力(株)、共同提案者の(株)エナリス、ほうとくエネルギー(株)の三社と協定を締結し、学校施設に太陽光発電施設と蓄電池を設置し、蓄電池の遠隔制御により先進的なエネルギーマネージメントを行い、エネルギーの効果的な地産地消を目指した取り組みが展開されています。

(再質問)再生可能エネルギーの地産地消におけるメリットとして、環境配慮型電源の利用によるCO2排出量の削減を掲げており、2つのメガソーラーからの地産電力の供給では、災害時に独立電源として活用は図れないと答弁をもらった。
近隣の小田原市、松田町、開成町では、すでに湘南電力(株)等との協定のもと、再生可能エネルギーの地産地消に向けた取り組みが進められている。
答弁にもあったが、その中で、小田原市と松田町では、学校等の教育施設に新たに太陽光発電設備と蓄電池を導入し、地産地消と併せ、分散型エネルギーを確保し、災害時の非常用電源として確保するとともに、蓄電池の遠隔制御により先進的なエネルギーマネージメントを行っているとのことである。
本町でも再生可能エネルギーの地産地消と併せ、同様の取り組みを推進する計画はあるか。また、町の施設への地産電源の供給にあたり、施設間でトータル的なエネルギーマネージメントを行っていく考えはあるか。

小田原市、松田町の先進事例を参考に本町にあった事業スキームを構築したいと考えています。

すでに本町ではグリーンニューディール事業において、湘光中学校及び大井小学校の屋上に太陽光発電設備を設置するとともに蓄電池を導入し、再生可能エネルギーの地産地消と併せて災害時における非常用電源として活用できる仕組みとなっています。

トータル的なエネルギーマネージメントについては、現在老朽化による施設改修時において、照明器具や空調機器等について省エネ設備の導入を推進している。

各施設によりEMS(エネルギー・マネージメント・システム)の導入検討を進めている状況であり、今後、各施設へEMSを整備計画の状況を見ながら、相対的なエネルギーマネージメントの導入についても検討を進める必要があると考えます。

マキノの目

地球温暖化が進み、異常気象が普通の状態となりつつある現在、私たちは人類の未来のために地球温暖化防止に努力しなければならないと考えます。

今まで文明を支えてきた有限な石油系燃料や人間にはコントロールできない原子力発電などは無くしていかなければならない物と考えます。地方自治体も町民も何をなすべきかが問われています。

大井町では「安心・安全なまちづくりに向けたスマートタウン構想」を掲げ、大井町地球温暖化対策実行計画事務事業編の重点施策に地域資源(二つのメガソーラー)からの再生可能エネルギーの調達によりCO2排出量削減を目指す計画を表明しました。

それを実現するためには、電力の購入単価などまだまだ解決しなければならない、問題があります。

平成31年6月より二つのメガソーラーより地域新電力会社(湘南電力株式会社)を介して町施設に供給を行う計画のようですが、将来的には町内に地域新電力会社を設立し町内の一般家庭にも電力供給をすることで初めて電力の地産地消のメリットが生まれるものだと思います。

まずは一歩前進、積極的な取り組みには賛成するものです。