令和2年6月議会一般質問
令和2年6月3日より開催されました定例会はコロナウィルス感染症拡大により、議会も出来るだけ簡素化し議席は間隔をあけて着席し、執行者側も町長他3役以外に答弁に必要な担当部署の課長のみと密接な状況を避ける形となりました。
また、質問時間も通常は最長1時間以内ですが今回は再質問なしで30分以内となりました。
質問事項
GIGAスクール構想への大井町の取り組みについて
質問1
文部科学省では新型コロナウィルス感染症拡大により、長期にわたる臨時休校を余儀なくされたことで、このような事態にも対応可能な遠隔教育などのSociety5.0の実現を可能とするため、計画の前倒しを行い、今年度中に実現すると発表した。
一人1台端末や、家庭でも繋がる通信環境の整備等、GIGAスクール構想におけるハード・ソフト・ICT技術者の配置支援など指導体制を一体とした整備を加速させるため、20年度中の完了を目指すとしている。
すでに国より神奈川県には前倒しで交付されており、申請のあった市町村には交付済みと聞いている。
そこで、町の現在の整備状況と、このGIGAスクール構想への取り組みと補助内容はどのようなものか伺う。
回答
平成27年度に国庫補助を活用し、相和小学校の校内LAN整備と同時に、児童用のタブレットパソコン30台、教師用10台導入し、あわせて電子黒板、大型テレビ、書画カメラ等の周辺機器の整備をした。
平成30年度に相和小学校以外の各学校に教師用タブレットパソコンを導入するとともに、校内の無線LANを整備した。
昨年度から大井小学校については、相和小学校と同様の形態にするため児童用タブレット40台を、湘光中学校については、技術科でキーボード操作の履修項目があることから、タブレットではなく生徒用ノートパソコン40台を整備し、今年度は上大井小学校のパソコン教室に児童用タブレットパソコン40台の導入を予定していた。
これまで児童・生徒用パソコンの整備を順次進めてきており、現状では、相和小学校以外の学校においては全校中40台という、おおむね1クラス分を整備するにとどまっている。
国が昨年度の補正予算で提唱した「GIGAスクール構想」は、IOT、AI、ビッグデータなど技術革新が一層進展し、仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立させる人間中心の社会、そして、幅広い産業構造が変革し人々の働き方やライフスタイル等が変化する、「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く新たな5番目の社会とされるSociety5.0時代を生きる子供たちのために早急に学校ICT環境の整備を進めるとしたものだ。
本町においても、ICT教育を推進するとともに、国が提唱する災害や感染症発生などの緊急時にも学びを保障する視点からもGIGAスクール構想にあるICT環境整備の充実と児童・生徒一人1台端末の整備に早急に取り組むこととしたものであり、すでに端末の整備については、国庫補助の内示がされており、本会議の補正予算に計上させてもらった。
本構想の国庫補助内容ですが、端末については3分の2、1台当たり定額で5万5000円まで補助される。高速大容量通信網整備については、校内LAN整備工事の2分の1の補助となる。また、ICT技術者の学校への配置経費を支援する事として「GIGAスクールサポーター配置支援事業」も補助対象となり2分の1補助となる。
質問2
GIGAスクール構想は教員の働き方改革にもなる校務のクラウド化を推奨している。
クラウドサービスである総合型校務支援システムをはじめとしたICT導入・運用を加速していく事で、例えば名簿や出欠管理、授業の準備や成績処理などの校務の負担を大幅に削減でき、教員の働き方改革にも繋がると思うが、検討しているのか伺う。
回答
既に本町の各学校においては、クラウドサービスによる総合型校務支援システムを平成27年度に導入している。
このシステムを導入したことで、児童・生徒の成績処理、名簿の一括管理、出欠席管理などの校務について大幅な時間短縮や業務の軽減につながっている。
質問3
性急なICT化を進めれば、子供たちが共同の学びを進め、人間的な触れ合いを通じて育む本来の教育を阻害する危険性があるとの声もある。
情報処理学会や日本数学会などの8団体が急激なICT化に次のような意見を述べている。
- デジタル教科書の使用が、児童・生徒が紙と筆記用具を使って考えながら作図や計算を進める活動の縮減にならない事。
- デジタル教科書の使用が、児童・生徒が自らの手と頭を働かせて授業内容を記録し、整理する活動の縮減にならない事。
- デジタル教科書の導入に際しては、当面の間は、現行の教科書を併用して評価や採択においては紙の教科書を基準にする事。
そこで、町ではこのような懸念材料に対してどのように考えているのか伺う。
回答
今年度より小学校から順次全面実施となる教育指導要領では、子供たちの資質・能力を一層確実に育成するためには、主体的・対話的で深い学びの視点に立った授業改善・学習過程の改善が必要とされている。
主体的・対話的で深い学びにつなげるために、ICT機器は確かに有用なものでありますが、ICT機器を使うことが目的ではない。
ICT機器を活用する過程で、子供が自ら考え、理解し、新たな思考を展開する中で深い学びにつなげ、資質・能力を育成していく事が重要であると考える。
そのため、ICT機器の環境整備に取り組んでいくと同時に、例えば自らの手で書くことなども今まで通り重視し、ノートと筆記用具を使った学習も継続していく事で、記憶の定着や認識の整理が出来るものと考える。
デジタル教科書については、今回の教科用図書改定に伴い検討し、有効活用が期待できるであろう国語、外国語の2教科について、まずは、教員に慣れ親しみ、研究してもらうという考えで導入を決定したものだ。
デジタル教科書ありきではなく、まず、教師用デジタル教科書を使用して、児童・生徒に対して、その視覚や聴覚に訴え、それぞれの履修内容に合った活用をすることで、本来の価値が発揮されるものと考える。
学校での学習は、教師と児童・生徒が向き合う中で、子供たちの深い学びにつなげていく事が基本であり、ICT機器については、あくまでも道具の一つとして活用を図るべきと考える。