企画経済常任委員会行政視察報告

企画経済常任委員会行政視察報告
実施日:平成30年7月10日~12日

石川県かほく市

視察内容

上下水道施設の包括的民間委託について

大井町では今後予想される水道供給施設の更新費用を賄うために30年度に料金改定を実施しました。しかし、導管の更新については今後の課題ということで、次回以降の検討とされています。そこで、上下水道施設の包括的な民間委託を実施している先進事例としてかほく市を視察しました。

質問事項

包括的民間委託を導入した経緯と現在の課題について
(回答)

市財政が厳しい中、一般会計から下水道への繰入金が大きく、維持管理予算が削減される傾向にあり、管理レベルの低下が懸念された。3町合併に伴い定員適正化計画により上下水道課職員が大幅に削減されたため、行政だけでは事業の継続が不可能であると考えた。また、合併後から上下水道施設等の仕様発注で徐々に業務をまとめコスト削減の効果を得られたことから平成22年から3か年の包括的委託契約(指名入札)を実施した。

今年度から第3期包括契約となり、料金徴収窓口関係業務や下水道・農業集落排水施設の全修繕業務等を含めるなど委託範囲を拡大したことから、地元企業の活用や人材の育成を行っているのか確認していく。また、職員の包括委託履行監視に対するマニュアルを作成することにより、委託業者に対する対応や異動等に伴う引継ぎが円滑に行えるように備えている。

委託を開始して2か月が経つが、住民からの意見等はあるか
(回答)

窓口業務に関して、今年4月よりは良くなったとも悪くなったなどの意見はない。移行後も特段の混乱もなく、民間職員の制服も徐々に認識されており、スムーズに移行されていると感じている。施設の維持管理についても特段問題はない。

民間委託により職員の技術継承は、どのように行っているか
(回答)

職員の技術継承については各種団体が実施する研修等を活用している。また、業者に対する要求水準書の中で「市職員も参加できるような教育研修を実施すること」を求めており、実績として、受託業者と合同での災害訓練(給水訓練)や低圧電気取り扱い業務資格取得講習会や、高所作業車運転資格取得講習会等に市職員も参加させている。しかし、現状は電気、土木職の職員がそれぞれ1名で残りが事務職という体制で包括委託業務の履行監視のほか工事等の現場管理や計画策定、各種調査に関する業務も兼任しており、職員の技術の習熟という面に関しては時間を要するものと考えている。

上下水道事業を広域行政で取り組む考えは
(回答)

市としては、金沢市・白山市・野々市市・津幡町・内灘町・かほく市からなる「石川中央都市圏上下水道事業広域連携推進協議会」に参加しており、広域連携事業の協議を進めている。計量器の共同調達を短期目標(5年以内)、施工業者指定等事務の共同化を中期目標(10年以内)とし、実現に向けて協議を進めている。また、上下水道事業の維持管理業務や窓口業務の共同化については、長期目標(20年以内)として挙げられている。今回契約期間を5年とすることで、広域連携や浜松市で行われているコンセッションなど、他の契約手法も視野に入れ、次期契約の検討をする。

感想

大井町には上水道の給水施設はあるが下水は流域公共下水に接続して流しているだけなので処理施設はないため導管の維持管理が中心となっている。かほく市も下水道の人口普及率が99%以上となっており、施設の維持管理が中心となっている。したがっていかに管理経費の削減に努めるかが大きな課題とのこと。このことは大井町も同様であり、民間委託についても一つの選択肢として考えていく必要があると思いました。また、大井町にはない「農業集落排水事業」は集落ごとに浄化施設を設置し下水道として料金を徴収する事業で今後の相和地区の下水道事業について参考になりました。

石川県羽咋市神子原地区

能登神子原米

視察内容

「限界集落を奇跡の集落にした、過疎対策」として2007年、羽咋市では神子原地区の過疎化対策のため、山村集落活性化計画「やまびこ計画」を打ち出した。この計画の目標は農産物の価格を市場に委ねることなく、農家が作ったものを農家が値段をつける仕組みを作り農家所得の向上により人口減少を食い止めることだった。テレビドラマにもなった、「ローマ法王が食べた米」としてブランド化し米価をそれまでの3倍にはね上げた。また、無農薬・無肥料で作られる「自然米」も販売されている。販売については農家が出資した「農業法人株式会社神子の里」設立している。

「能登神子原米」は羽咋市東部に位置し標高150mから400mの棚田で生産されローマ法王に献上するなどでブランド化され、日経ビジネス誌の「全国のおいしいお米ベスト10」にも入ったコシヒカリである。

おいしい理由は昼夜の寒暖差が激しく、豊富な雪解け水と化学肥料は使わず収量を抑えた栽培方法に起因すると言われている。生産量は年間500俵ほどしかなく、インターネットなどの注文が多いとのこと。直売所では3,600円/5kgで販売されていた。

感想

「やまびこ計画」から10年が経過し過疎化対策や地方創生について成功したこと、うまくいかなかったことなどを知りたいと訪問したが、当時とは市長も変わっており現状は視察を歓迎していない様子であり、直売所や世界農業遺産であるか神子原棚田を現地視察させてもらいました。

10年前、前市長の指示で行動力のある職員が過疎化対策に取り組んだ。米をブランド化したり空き家対策については、東京でPRをしたことでイギリス領事官の職員が名乗りを上げたりして話題になった。現在は市長も政策も変化したようだ。しかし、直米所は残りPOSシステムを導入したりして出荷者は200名になるそうです。ただ、コメ生産農家の高齢化は避けられず、直売場を運営する「農業法人(株)神子の里」が生産の委託を受けている面積が増加傾向にある。

どのような政策も継続して実行をすることは大変難しいものだと実感した。

富山県射水市

視察内容

下水道事業の企業会計方式への移行について

感想

下水道事業は、独立採算を原則とする公営企業として位置付けられているため、経営状況や財政状況を明確にし、健全経営を行っていく必要があります。

下水道事業を持続的・安定的に運営するためには、経営情報の的確な把握や経済性の発揮、企業間での経営状況の比較等が求められ、その前提として公営企業会計の導入が不可欠とされています。

地方公共団体の下水道事業については「公営企業会計の適正化の推進」により人口3万人以上の市町村については31年度までに移行が必要であり、人口3万人未満の市町村は出来る限り移行が必要となり、大井町では移行に向けて準備を始めました。

射水市の説明によると移行事務に3年ほどかかり職員の兼任では困難で一部業務委託が必要となるとのこと。以下参考資料のような作業がありかなりのボリュームとなりそうです。


参考

地方公営企業法適用移行支援業務委託

  • 固定資産台帳作成・システム構築
  • 財務会計システム構築
  • 公営企業移行準備作業に対する事務支援業務
       
    1. 条例等整備
    2.  
    3. 予算編成
    4.  
    5. 打ち切り決算
    6.  
    7. 開始貸借対照表作成