議員定数削減案を否決される!

議員定数削減案否決

令和2年3月議会に石井勲議員、田村俊二議員と私の3人により議員発議として定数14を1削減の13とする議案を提出しましたが、結果は賛成4人、反対9人で否決されました。

結果的には賛成少数で否決され残念でしたが、賛成討論2議員、反対討論4議員と活発な議論ができたのは、議会の本来あるべき姿で有ったと思います。このような議会を町民の皆様に理解していただくことも今回共同提案した議員の共通の考えでもありました。

私は4年前の選挙時に選挙公約として「議会改革をすることで町が変わる」を町民の皆様と約束をしました。その一つとして、議員定数の削減に取り組んできました。今回、同様な考えを持った石井、田村議員と共に他議員や町民の皆さんに理解してもらいたいとの考えで行動を一にしました。

提案理由

バブル経済崩壊以降、人口減少や経済の不安定から地方自治体の財政悪化などの要因で、行財政改革が各地で進められた。これに対し地方議会では執行者側だけに改革を迫るのではなく、自らも議員定数削減などの姿勢を示すことが一つの流れになっていた。

その様な中で、大学教授や評論家が議員定数の削減は多様性が無くなり民意が反映されにくくなる。また、財政などの理由で議員定数を議論するのは違うのではないか、減らせば良いというものではないと警鐘を鳴らすような論文が散見された。このことは、前述のような背景が有ったからだと思う。しかし、その論理の中に理想的な定数の基準は本会議や委員会で良い議論が出来るかどうかという事で、何人なら良いとの正解は無かった。

全国には10人で行っている議会もある。少ないからと言って良い議論ができないという事ではないと思う。

議員定数については、以前は法律で人口段階別に応じた上限数が定められていたが、現状は、議会自らが自由に決められることになっている。議会自らが決めるという事は、自らに対し厳しい方向で決めても、町民からは妥当な判断と捉えられ、現状維持などについては、自らに甘いとの評価がされるのが必定だ。先輩議員たちが策定した議会基本条例の前文には「町民から選ばれた議員により構成された議会は、町民に対して政治責任を負っており、議会は自ら活性化に取り組みながら町民の信託に答え、信頼され、存在感のある議会となるよう努力する」と書かれている。そこには判断基準が議員の為ではなく、町民が主役となっている。二元代表制の下では、首長と議会の力関係のバランスが取れていなければならない。現在、首長が相対的に議会より強いと一般的に理解されている中で、議会力を低下させる訳にはいかない。

今回の削減提案の理由の一つが議会基本条例に記された議会運営を、忠実に実行することで議会力・議員力のアップにつながると考える。

もう一つの削減理由として、定数1減の13になると奇数となり、議長の権能が上がる。議長は一議員ではなく、大所高所から議会を運営する立場にあり、めったに無いこととはいえ可否同数になることがあり得る。その際、議長の政治的信条から、どちらかを選択する権利を奪うことはできない。慎重審議の必然性から現状維持の原則とすることも出来るが、議長であっても一議員であり、評決の権限をも奪うことはできない。奇数であれば議長の権能も上がると考える。また、結果的に削減効果を一般会計全体で吸収するのではなく、懸案であるホームページの検索システムの導入や議員報酬の引き上げ、議会事務局の充実等の議会費に充てることで議会力の強化につながると考える。さらに、近隣他町の議員定数との整合性などを相対的に考慮すると定数を削減すべきと考える。

賛成討論

石井勲議員

現在の社会情勢から鑑み議員のなり手不足は深刻である。議員定数の適正規模の判断基準はない。

議会改革の柱は「議会の見える化」」・「議員の資質の向上」・「議会活動・委員会活動の活性化」です。議会が担うべき責務は住民の声を吸い上げる「民意の吸収」であり、町の「監視機能」と「政策立案機能」である。

議会は議会改革に取り組む強い姿勢と覚悟、そして行動が必要だ。町を取り巻く財政状況は危機感を持って取り組まなければならない中、住民に対しては広報公聴の充実は必至であり、議会の「見える化」を進めなければならない。

大井町議会は「見える化」が他市町に対して遅れている。その費用を議員定数1名削減し費用を捻出し議会の「見える化」を実現する。

田村俊二議員

議員定数は、先輩諸兄の苦渋の努力の結果、現在14人となっている。しかし、町民からは一層の定数削減を求める厳しい声が寄せられている。

議会の役割は、団体の意思を決定し、執行機関をチェックする機能を担うもので、討議できる人数確保は重要な視点である。

本会議を見ると、議長は、常任委員会に所属するが、「指導的な発言が望ましい。」とされており、所属する常任委員会では実質、委員が1人減となる状況にある。自治法では、議長の決裁権を」認めているが本会議は、議長を除く13人で決するため、議長の決裁権が具現化されない状況となっている。以上の事から、定数を1人減じても、討議に必要とされる人数は十分確保できており、かつ、定数を1人減じることで、議長決裁権の具現化を図ることができる。

なお、削減される議員歳費は、見送らざるを得なかった諸施策に充当活用を図ることが可能となる。

議員一人ひとりは、議会に求められている権能を実現するための限界はどこか。自ら問い、チャレンジすることが求められている。

反対討論

鈴木磯美議員

本件に関しては議長の諮問により時間をかけて、議会運営委員会が検討を重ね答申をした経緯がある。その中には、昨年の議会報告会の会場で町民の意見も拝聴した結果も反映されていると思う。削減ありきではない。議員自身の資質の問題、議員自身が仕事の内容を発信する努力をしてほしい等の意見が寄せられた。議会改革の一環とするなら議員自身がまずそこから考えるべきである。本年9月は改選時期にあたり、手を挙げようとしている人には準備期間が短いのではないか。しかし、議員定数が現行でよいとは思わない。改選後も議員間で勉強会等を重ね、次回の選挙の遅くとも2年前には提案すべきと考える。

曾根田徹議員

議会議員の定数については、近隣の市町村でも議論がなされ定数をされた自治体、定数を維持した自治体もある。議員定数を決める基準は、町の人口と面積から議員報酬等を考慮して話し合いで決めている。本町でも議員間で話し合いや町民の意見でも定数削減をした方が良い、定数は今のまま維持で良いと賛否は分かれた。本町の議員定数は14名で一人ひとり活動にぢ方、考え方は違うが、町民の声を受けて、暮らしや福祉、教育など様々な事業を行政がしっかりと出来ているか監視する役目を議員は担っている。議員定数を削減すれば町民の切実な声が町政に届きづらくなり、一部の声だけが反映されてしまうと考える。多種多様な住民意見を反映するには複数の議員がいることで成り立つ。また、議会制度は二元代表制の一方を担うもので、大きな権限を持つ首長とその執行機関に対して町民の立場に立ちチェックをし、議決をするという民主主義を徹底する事が求められる。民意切り捨てにつながる定数削減ではなく、民が反映される定数であるべきだと思う。

清水亜樹議員

議会は合議制の意思決定機関として町民の多様な声を町政に反映するとともに、二元代表制のもと町政に対する監視機能を果たすという重要な役割がある。近年、地方分権の流れが加速している中で、創意工夫を凝らしながらの自主的な行政運営が一層求められており、議会の担う役割や責務は非常に大きくなっている。また、住民の隅々までの声を聴くため、幅広い年齢層や多種多様な立場の人材が相当数、参画することが重要であると考える。 現在、果たして議会が十分に役割を果たせていると言えるのか。議会改革を挙げるのであれば、行政の監視、政策立案、条例の提案、活発な委員会活動など、住民福祉の向上に向けて一層の強化をしていくための議会改革こそが重要と考える。代表機関の縮小が民主政治の後退となってはならないと考える。

熊田和人議員

改正案は定数14人から13人とするものである。提案理由として議会改革の一環とあるが、私の考えは議員の歳費を日当制にした定数増である。仮に定数を自治会と同じ19人にし、日当1万円としても4年間で約3,000万円の削減につながる。

今回は議長から議会運営委員会に諮問され、答申は現状維持の14人が妥当とのことだが、定数は現状か削減しか議論がされず、定数増の議論がされなかった。この事でもあるように、まだ議論がなされておらず、合わせて政務活動費に対しての議論も行われなければならないと感じている。

近隣がおおむね定数12人なので大井町議会も削減しなければならないというのはおかしなことであり、昨年の議会報告会の出席者も概ね現状維持が妥当との意見が多数であった。したがって、まだまだ定数の問題は議論が尽くされておらず、時期尚早と言わざるを得ない。時間をかけ議員全員で議論し、結論を導き出さなければならないと思う。